大学院生の論文発表
20. 尾林 景子さん(2020年度生命科学コース修了)の筆頭論文がProtoplasmaに発表されました
(2024年10月16日掲載)
Cornig® Cell-Tak™を使って、繊毛虫のミドリゾウリムシを生きたままで長時間観察する方法を確立しました。その結果、ミドリゾウリムシの食胞膜の内部pHの変化と食胞膜の直径の関係が明らかになり、食胞膜が分裂する瞬間や食胞膜から内容物が脱出する瞬間の撮影に成功しました。
Keiko Obayashi and Yuuki Kodama, Dynamics of digestive vacuole differentiation clarified by the observation of living Paramecium bursaria. Protoplasma, Published: 08 October 2024
19. 森田光さん(2023年度生命科学コース修了)の筆頭論文がEuropean Journal of Protistologyに発表されました
(2024年9月5日掲載)
繊毛虫のミドリゾウリムシを用いて、共生クロレラとトリコシスト(捕食者に対する防御器官)の関係を調べました。クロレラ除去後の細胞は、保持する細胞よりもトリコシストを速く再生でき、再共生させると1週間以内にタンパク質量が減少することが分かりました。
Hikaru Morita and Yuuki Kodama, Quantitative analysis of trichocysts in Paramecium bursaria following artificial removal and infection with the symbiotic Chlorella variabilis. European Journal of Protistology (In Press) (2024)
18.Raj Deepさん(創成理工学専攻理工学コース博士後期課程3年生)の筆頭論文がphysica status solidi (RRL) - Rapid Research Lettersに発表され、Semiconductor TODAYで紹介されました
(2024年8月27日掲載)
Raj Deepさんは、酸化亜鉛ナノ粒子を用いたフルカラー発光ダイオード(LED)と高い演色性を示す白色LEDの特性の詳細を初めて報告しました。また本論文は英国の出版社が発行する化合物半導体や先端シリコン半導体に関するデジタル雑誌であるSemiconductor TODAYのニュース記事として取り上げられました(トピックス記事へ)。
17.Kamrun Naher Azadさん(自然環境システム科学コース博士後期課程3年)の筆頭論文がScientific Reports誌に発表されました
(2024年6月4日掲載)
Kamrun Naher Azadさんは、イカのオスによる巧みな精子配分戦略を初めて明らかにしました。つまりメスの交接経験と成熟度に応じて、オスは臨機応変に交接位置を変えていることがわかりました。
Kamrun Naher Azad et.al., (2024) Males conditionally inseminate at three female body locations according to female mating history and female maturity status in a squid. Scientific Reports 14: 11702.
16.島田真帆さん(創成理工学専攻博士後期課程2年)の筆頭論文がEuropean Journal of Protistology誌に発表されました
(2024年5月20日掲載)
島田真帆さん(R5年度S-SPRING生、R6年度より特別研究員DC2)は、原生生物繊毛虫が単細胞であるにもかかわらず2または3分割しても再生可能であることを示しました。単細胞の再生は、幹細胞が分裂して再生する多細胞生物とは異なったメカニズムによる再生であり、再生メカニズムの進化の解明や再生医療への応用などが期待されています。
Maho Shimada, Masashi M. Hayakawa, Toshinobu Suzaki, Hideki Ishida, Morphological reconstruction during cell regeneration in the ciliate Spirostomum ambiguum, European Journal of Protistology, Volume 94, 2024, 126079
15.尾形茂紀さん(自然環境システム科学コース博士後期課程3年生・社会人ドクター)の筆頭論文がEcological Research誌に発表されました
(2024年5月20日掲載)
溜池などでわずか1Lの水に含まれるDNA情報(環境DNA)を調べるだけで、日本でも問題視されている侵略的外来種ウシガエル・アメリカザリガニの分布状況を効率的に推定できる環境DNA手法を開発しました。この論文はTop Cited Article 2022-2023の2年間で被引用回数がTop10の論文として認定されました(トピックス記事へ)。
Ogata S., Doi H., Igawa T., Komaki S., Takahara T. (2022) Environmental DNA methods for detecting two invasive alien species (American bullfrog and red swamp crayfish) in Japanese ponds. Ecological Research, 37(6): 701-710. DOI: 10.1111/1440-1703.12341
14.Nadia Akterさん(自然環境システム科学コース博士後期課程3年生、赤間一仁教授の研究室)の筆頭論文がMolecular Breeding誌に発表されました
(2024年4月25日掲載)
イネにおいてグルタミン酸からγ-アミノ酪酸 (GABA) を合成するグルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)をコードする遺伝子の一つであるGAD4遺伝子をゲノム編集技術によって改変することで、イネの植物体内のGABA含量を増加させることに成功しました。GABA増量イネは気候変動を模した乾燥・冠水・高塩などの環境ストレスに対して強い耐性を示しました。
Akter N, Kulsum U, Moniruzzaman M, Yasuda N, Akama K. (2024) Truncation of the calmodulin binding domain in rice glutamate decarboxylase 4 (OsGAD4) leads to accumulation of γ-aminobutyric acid and confers abiotic stress tolerance in rice seedlings. Molecular Breeding 44(3):21. doi: 10.1007/s11032-024-01460-1.
13.武田明紀さん(2022年度物質化学コース修了)の筆頭論文がThe Journal of Organic Chemistryに発表されました
(2024年4月12日掲載)
酵素機能を模倣するために開発された有機分子触媒であるフラビン触媒を、ヨウ素触媒と組み合わせて用いることで、炭素-炭素および炭素-窒素結合形成反応を連続的に進行させ、ジヒドロピロールを二成分あるいは三成分反応により簡便かつグリーンに合成する手法を見出しました。
Takeda, A.; Oka, M.; Iida, H., Atom-Economical Syntheses of Dihydropyrroles Using Flavin-Iodine-Catalyzed Aerobic Multistep and Multicomponent Reactions. J. Org. Chem. 2023, 88, 7551-7556.
12.三宅葉月さん(自然環境システム科学コース博士後期課程1年生)の筆頭論文がAdvanced Synthesis & Catalysisに発表されました
(2024年4月12日掲載)
生体内の酵素機能を模倣するために開発された有機分子触媒であるフラビン触媒を用い、テトラヒドロイソキノリンと炭素求核剤の脱水素型交差カップリング反応を酸素によって進行させ、炭素ー炭素結合が形成できることを初めて報告しました。
Miyake, H.; Iida, H., Flavin‐Catalyzed Aerobic Oxidative C?C Bond Formation by Metal/Light‐Free Cross‐Dehydrogenative Coupling. Adv. Synth. Catal. 2024, 366, 402-407.
11.岡 真里奈さん(2023年度自然環境システム科学コース(博士後期課程)修了)の筆頭論文がChemistry A European journalに発表されました
(2024年4月12日掲載)
リボフラビン誘導体をらせん状に自己集合して得られた超分子ゲルを開発し、化合物のキラリティの違いを目で見える色変化によって見分けたり、分離(光学分割)できる新材料として機能することを報告しました。
Oka, M.; Kozako, R.; Teranishi, Y.; Yamada, Y.; Miyake, K.; Fujimura, T.; Sasai, R.; Ikeue, T.; Iida, H., Chiral Supramolecular Organogel Constructed Using Riboflavin and Melamine: Its Application in Photo-Catalyzed Colorimetric Chiral Sensing and Enantioselective Adsorption. Chem. Eur. J. 2024, e202303353.
10.岡 真里奈さん(2023年度自然環境システム科学コース(博士後期課程)修了)の筆頭論文がChemistry Lettersに発表されました
(2024年4月12日掲載)
生体内の酵素機能を模倣するために開発されたフラビン触媒を用い、チオールとアミンのS-N結合形成反応とそれに続く酸化反応によりスルフィニルアミンやスルホニルアミンが生成することを報告しました。本論文は同誌のEditor’s Choice(優秀論文)に選出されました。
Oka, M.; Takeda, A.; Iida, H., Riboflavin-Based Photocatalysis for Aerobic Oxidative S-N Bond Formation of Thiols and Amines. Chem. Lett. 2024, 53, upad057.
9.坂本 渉さん(物質化学科卒業 [令和6年度 物質化学コース 入学])の筆頭論文がセメント・コンクリート論文集に発表されました
(2024年4月12日掲載)
高炉スラグ微粉末(BFS)を多量に含有したセメントペーストの炭酸化挙動に及ぼすCO2固定型混和材および相対湿度の影響を検討した研究にて、セメントペースト中の成分の炭酸化メカニズムを明確にしました。
Wataru SAKAMOTO、Natsuki YOSHIDA、Yukiko NISHIOKA、Daiki ATARASHI:INFLUENCE OF CO2 FIXING ADMIXTURE AND RELATIVE HUMIDITY ON CARBONATION OF CEMENT MIXED WITH LARGE AMOUNT OF BLAST FURNACE SLAG、Proceedings of the Japan Concrete Institute、Vol. 46、pp未定、2023
8.坂本 渉さん(物質化学科卒業 [令和6年度 物質化学コース 入学])の筆頭論文がセメント・コンクリート論文集に発表されました
(2024年4月12日掲載)
合成したC-S-H の乾式炭酸化によって生成した炭酸カルシウムが通常の炭酸カルシウムより低温から熱分解する原因の究明を目的とした研究にて、低温から炭酸カルシウムが熱分解するメカニズムは、炭酸カルシウムとシリカゲルの化学反応によって説明できることを明らかとした。
Wataru SAKAMOTO、Natsuki YOSHIDA、Yukiko NISHIOKA、Daiki ATARASHI:EFFECT OF CHEMICAL REACTION BETWEEN CALCIUM CARBONATE AND SILICA GEL ON THE THERMAL DECOMPOSITION OF CARBONATED C-S-H、Cement Science and Concrete Technology、Vol. 77、pp. 459-466、2023
7.浅野洋斗さん(2023年度物質化学コース 修士1年)の筆頭論文がセメント・コンクリート論文集に発表されました
(2024年4月12日掲載)
相対湿度がCO2固定型混和材(γ-C2Sを主成分とする特殊混和材)の炭酸化速度および生成物に及ぼす影響について実験を行ったところ、低湿度(11%RH)では炭酸化は進行せず、湿度が高くなるほど炭酸化速度は上昇することを明らかにした。
Yoto Asano, Natsuki Yoshida, Taiichiro Mori, and Daiki Atarashi、Carbonation mechanism of γ-C2S-containing additive and influence of relative humidity on carbonation reaction, Cement Science and Concrete Technology, Vol.77, pp.508-515, 2023
6.高塚 稜さん(2023年度物質化学コース修士1年)の筆頭論文がセメント・コンクリート論文集に発表されました
(2024年4月12日掲載)
セメント水和物の炭酸化生成物の生成過程を明らかにするために、24時間以内でCO2ガスと反応させた。その結果、初期に非晶質炭酸カルシウムが形成され、その後結晶化して安定相へ変換していくことが明らかとなった。
Ryo Takatsuka, Natsuki Yoshida, Hiroshi Kadota, and Daiki Atarashi, Effect of relative humidity on the formation process of carbonation products of Ca(OH)2 and C-S-H, Cement Science and Concrete Technology, Vol.77, pp.467-474 , 2023
5.宇野光稀さん(2023年度物質化学コース修了)の筆頭論文がセメント・コンクリート論文集に発表されました
(2024年4月12日掲載)
石灰石微粉末を混合したセメントの水和反応にトリイソプロパノールアミンが及ぼす影響を明らかにするための実験を行ったところ、トリイソプロパノールアミンは石灰石微粉末およびセメント鉱物の一種であるフェライト相の反応を促進させることを明らかにした。
Koki Uno, Sae Kondo, Yoshifumi Hosokawa, Daiki Atarashi, The effect of amines on physical properties and hydration reaction of various portland cements containing limestone powder, Cement Science and Concrete Technology, Vol.77, pp.96-104, 2023
4.板持貴大さん(2022年度物質化学コース修了)の共著論文がColloids and Surfaces Aに発表されました
(2024年3月29日掲載)
エタノール中に分散したCaO粒子に対するレーザーアブレーションによって生成するゲルの生成メカニズムを調べた。その結果、ゲル生成はレーザー照射を受けた粒子と受けていない粒子とが混在することによって起きることが明らかになった。
H. Takamori, T. Itamochi, T. Tsuji, D. Atarashi, Y. Ishikawa, Y. Okumura, H. Kikuchi, Mechanisms of CaO particle gelation by laser ablation of CaO powder dispersed in alcohol, Colloids Surf., A, 679 (2023) 132573
3.安中博紀さん(2022年度数理科学コース修了)の筆頭論文がLinear and Nonlinear Analysisに発表されました
(2024年2月16日掲載)
In this paper, we study quasiconjugate dual problems for quasiconvex programming. We introduce three types of dual problems in terms of quasiconjugate functions. We show strong duality theorems for the dual problems. We discuss about our results and previous ones.
Hiroki Yasunaka and Satoshi Suzuki, Quasiconjugate dual problems for quasiconvex programming, Linear Nonlinear Anal. 9 (2023), 103-113.
2.針本翔太さん(2021年度環境共生科学コース修了)の筆頭論文がPlant Species Biologyに発表されました
(2024年2月2日掲載)
絶滅危惧種のオキナグサの種子が最長何年間、発芽力を保持するかを明らかにするため、過去31年間、毎年収穫し、6℃で保存してきた種子を用いて発芽実験を行ったところ、発芽力は保存6年目までであることを明らかにした。
Shota Harimoto, Hiroyuki Kataoka and Masako Kubo, Seed germinability in the endangered Pulsatilla cernua (Ranunculaceae) following cold storage for up to 31 years. Plant Species Biology 37:308-314 (2022)
1.坂根晋平さん(2022年度知能情報デザイン学コース修了)の筆頭論文がKodai Mathematical Journalに発表されました
(2023年5月18日掲載)
In this paper, we give a new relation between the Barnes zeta function and the Hurwitz zeta function. Using this, we give generalizations of Kummer's formula on the gamma function and Koyama-Kurokawa's formulae on the multiple gamma functions, and an explicit formula for the values at non-positive integers for higher order derivatives of the Barnes zeta function.
Shinpei Sakane and Miho Aoki, On values of the higher derivatives of the Barnes zeta function at non-positive integers, Kodai Math. J. 45 (1) (2022), 65-95.